僕が海外の漫画に興味を持ち出したのはニコラドクレシーからだ。
もともと「ベルヴィル・ランデブー 」が好きだった僕は、なんとなくAmazonで監督のシルヴァン・ショメの作品を検索してみたら「レオンラカム」(作シルヴァン・ショメ絵ニコラドクレシー)という作品を見つけて、その関連商品だったかわいい犬のキャラクターが主人公の「サルヴァトール
」が気になり買ってみたのが始まり。

このバンドデシネ(フランスの漫画)「サルヴァトール」は近年読んだ物語で最も大きな衝撃を受けた。
へなへなの線で描かれた愛すべき動物のキャラクター達、世界観。
なんだこれは。
ずば抜けている。
最高のへなへなだ。
普通へなへなはダメだとされるのに!
その衝撃は「ベルヴィル・ランデヴー」を見たときと同じである。
完璧に打ちのめされるあの感覚。。はぁ。。
そしてある事実を知る。
なんと「ベルヴィル・ランデブー」にニコラドクレシーは制作に関わってないけど、その背景の描き方や線などがニコラドクレシーそっくりだということで論争が巻き起こり、ニコラドクレシーとシルヴァン・ショメの関係も険悪になったそうだ。
そうか、僕はもともとシルヴァン・ショメではなく、ニコラドクレシーの描く世界が好きだったのか。

優しい色使いにユーモア光る辛らつなセリフ。
大人が楽しむためのコミックである。
ニコラドクレシーの背景が描いてる動画も紹介しよう。
見よこの筆さばきを!
このへなへなした線を!
弘法筆を選ばず。
この動画はとっても貴重な映像にも関わらず300回ほどしか再生されていない。
こんな魅力的な絵をぼくも描きたい!
ただひとつだけ気になることがある。
「サルヴァトール」も「プロレス狂想曲」も未完なのだ。
「レオンラカム」も1巻は翻訳されているが、完結する2巻は翻訳されていないのだ。
2巻はアングレーム国際漫画祭の最優秀作品賞を獲っているにも関わらず。
ニコラドクレシーの翻訳された作品は他に「天空のビバンドム」「フォリガット」があるがこれらはダークで独特な世界観で見るものを選ぶだろう。
(偉そうなことを言ってるが僕は持ってない)
僕がおすすめするのは「サルヴァトール」と「氷河期」だ。
氷河期の帯にはジョジョの作者である荒木飛呂彦さんの紹介文がのっている。
ひとコマ。ひとコマ。まったりと見入ってしまう。
お茶とお菓子をそばにおいて、ずっと眺めていたい。
ぼくの絵や自主制作アニメにもこのクレシーのような小粋なフレンチエッセンスを加えることができたら最高の物語に近づくかもしれない。