僕は基本操作しかわからない状態でCGデザイナーに就職したので、ほとんど仕事で覚えました。
チェックムービーを提出して、そのフィードバックで
「このカットは、迫力を出したいのでカメラをこんな感じにしてください」
のような指示があるので、「ふむふむ、なるほど、こういう時は、こういう感じにすればいいのか」とそこで学ぶわけです。
で、最近は少し慣れてきた部分もあるので(自信はないけど)
主にアニメやパチスロのお仕事でのお話だけど、どんな感じか紹介してみよう。
よくあるのが手振れを入れるカット。
「手振れを入れたら映画みたいにかっこよくなるし、リアリティがあるのだ」という風潮が強い。
もうCGソフトのほうで手振れを簡単につけれるパラメータを追加して欲しいくらい。
コンポジットのことを考えると、AfterEffectsのウィグルで済ましたいとこだけど、「CG上で手振れを入れたほうがよりリアル」というのがプロの意見なのだ。
カットで変化をつけるのは基本だけど、たまに絵コンテであんまり前後のカットで変化がない時があります。
そんな時でも、できるだけ変化を持たせるのが良いのだそうで。
例えばカメラの集点距離を変える。
ややアオリにしてみる。
すこしロールを入れてみる。
など。
例えば、背景だけワイドにして広い感じを演出するなど。
他にもキャラにつけパンしてカメラをつけた時に、キャラにあわせると背景がグラついちゃう時なんかも背景は別カメラにしちゃえば簡単に対応できる。
キャラがビュンと移動するときも、背景用のカメラだけ移動幅を大きくしちゃうとか。
状況にあわせて柔軟に対応することが大事なのだ。
カメラが回り込んだり、大きな動きをするときはカメラをパスに沿わせて移動させるパスアニメーションのほうが制御しやすい。
とにかくCGのカメラというのは回りこみがちなのだ。
「回りこめることがCGの最大の利点である!」と考えているのだろう。
もはや「回らなきゃ損」くらいの思っているはずだ。
なのでぜひカメラはぶん回してあげて欲しい。それが例え無意味でも。
まぁ、そういうことです。
やりすぎてもあれだけど。
どれくらいかな、20~30mmくらいかね。
カメラが近づくと、ワイドだとキャラクターの顔が膨張しちゃうので、ある程度望遠にしたほうがしっくりきます。
60~100mmくらいで調整してみましょう。
これは実際のカメラでもそうで、スマホのカメラは多少ワイドなので、少し離れてズームして撮った顔のほうが良い顔が撮れますよ。
これは初心者がやってしまいがち。
カメラが動いてるカットだと、始まりはリニアにしたほうが前のカットとのつながりが良い時がよくありますからね。
カメラアニメーションだけじゃなく、キャラのモーションでもそうですが。
カメラは基本、完全に止めないほうが良いかもです。
ギュン!とクイックトラックアップした後なんかは「最後はじわ~っとフェアリング」
がセットになることがよくあります。
これは映像の基本かもしれませんが、自分の目だけを信じてやってると「よし、いい感じだな」と思ってても、グリッドを表示してみると意外にバランスが悪いことがあります。
僕はMaxで作業するとき、カメラビューではいつも4×3のグリッドを表示しています。
このグリッドの頂点に人物を置くと良い感じになったりもするし、縦や横の空間のバランスを確認して、無駄にスキマがあいてる場所がないかなどを確認しながら作業しています。
なめる。
というのは、例えばパンチモーションだと、カメラの目の前を拳が通ることにより、拳がおっきく見えるので迫力が増し、さらにその拳にちょいとつけパンすることで流れも出るという高等テクニックである!
とにかく迫力が求められます。
迫力=クオリティだと信じ込んでいるのです。
正確に言えば、人間の目は複雑なので色々あるんだそうですが、とりあえずひとつの目安として。
たとえばキャラ目線のカメラなら、ひとまず50mm前後くらいで調整してみると良いと思います。
カメラを回転させるということです。
見えかたとしては地平線を傾ける、ということですね。
例えばキャラがぎゅん!っとカメラに向かって飛んでくるとしましょう。
ぎゅん!の瞬間にぐいっとロールさせるわけですねぇ。
さらにそのロールも最後まで止まらないでフェアリングさせるようにしましょう。
これが僕が仕事で学んだカメラワークのすべてです。
え?基本的すぎて極意でもなんでもない?
ちなみに自主制作アニメでは、仕事で培ったことなんて無視して、カメラを動かさない古典的な感じでやってます。
そっちのほうが味があって好きなので。
最近はぐりぐりカメラを動かす映像ばかりなので、固定カメラのほうが逆に新鮮になってきましたよね。